もりの作文

文章練習ブログ

ナギサさんと参観日の思い出

「私の家政夫ナギサさん」の第6話を見た。驚くべきことに今週もメイは田所に対し、「あの人(ナギサさん)は父です」と虚偽説明をしとった。「お母さんと比べて、ずいぶんお若いですね」と田所が言っても、「年の差結婚なんです」と言い張っとった。

 

確かに「家政夫を頼むズボラな女」と、思われたくないメイの気持ちもわかる。僕にも似たような経験がある。あれは僕がまだ小学生時代の授業参観の時の話だ。

 

参観日の授業と言えば、どこの学校でも完全によそいきの授業を行うものである。うちのクラスも、多分に漏れず、平常時と違って、みんないっさい、私語をすることない、まじめな授業が進められていた。そんな非日常の最中、もっと非日常の事件が起きた。突然、教室の前のドアがガラガラとあいて、なんと、僕の母が入ってきたのだ。当然、みんなの視線は母に注がれた。すると、母はペロっと舌を出して、「あっちゃあ~。うしろと間違えてしもうた~」と言った。

 

次の瞬間、教室は大爆笑に包まれた。で、ふつう、うしろのドアから入りなおすのに、僕の母は、そのまま前進し、机の間を「はいはい。ごめんなさい。ごめんなさいね~」と言いながら、うしろへ移動していったのである。あまりに笑いが止まらないので、先生がとうとう「はーい。みんな静かにー」と注意し、ようやく収まった。僕は恥ずかしさで、顔から火が出まくった。あまりに火が出たので、あやうく教科書が燃えそうになった。

 

授業終了後、クラスメイトが「あれ、おまえの母ちゃんだろ」と僕に言ってきた。僕は「ち、ちがうよ。なにいってんだよ」と否定したが、「うそつけ。お前んち行ったら、いつもあのおばちゃんいるじゃねえか」と言われたので、「あ、あれはうちで雇ってる家政婦だ」と、うそをついた。(つまりメイがナギサさんを父だと言ってるのと、逆パターンだ)。ところが、クラスメイトの追求は田所のように甘くなく、「お前んち、ビンボーじゃねえか。ボロボロのアルトに乗ってるくせに、家政婦を雇う金なんかねーだろ。なんなら、放課後、みんなでお前んち、行ってもいいんだぞ」とまで、言われた僕は、とうとう降参し、「テッテレー。実は僕のお母さんでした~」と泣きそうな声で、白状してしまった。

 

僕のうそは5分と持たなかったが、メイのうそは来週でとうとう7週目に突入する。メイはゴマカしきれていると確信しているようだが、田所の「腑に落ちない感」は、週ごとに増幅している。どうするメイ? まさか、最終回まで逃げ切れると思ってはあるメイな?

 

おあとがよろしくないようだが、来週もメイの動向に注目だ。