もりの作文

文章練習ブログ

GOTO 吉田

何かと批判の多い「GOTOトラベルキャンペーン」。朝日新聞世論調査では7割が反対しているそうだ。当然だろう。コロナ禍が収まっていないのに時期尚早だと僕も思う。

 

しかし、この圧倒的批判が多い中、わが友人の吉田(仮名)は、「すばらしい。さすが安倍総理!」と絶賛している。理由を聞くと、自分には今、意中の女性がいる。相手の女性もまんざらでもない感じで、自分のことを見ている。以前、何人かと一緒に食事にいったのだが、彼女はわざわざ自分の隣に座ってくれた。これってそうとう脈ありだろ。自分が話すことに、いちいち笑顔でうなづいてくれるし、広島カープのファン同士という共通点まである。まだ1対1のデートにこぎつけてはないものの、フィーリングはとても合ってるようだ。いってみれば、恋人の前段階というやつかもしれん。いや、そう、言ってもいいでしょう。今回のキャンペーンは彼女を旅行に誘う、絶好の機会だ。そして、旅行を経て、俺たちは恋人同士という、次なるステージに進むのだ。

 

というような事を吉田はいささか興奮気味にしゃべった。相手の女性の言い分をきいていないので、なんともいえないが、話をきいた限りでは、いい感じそうだ。

 

だが、やはりコロナのことが心配な僕は「もう少し、おさまってからでもいいんじゃないか? まずは身近なデートをして、旅行はそれからにしろよ」と批判的な意見を述べた。すると、吉田は「感染防止策を徹底すれば、何も問題ございません」と菅官房長官のような口調で、否定した。

 

「はあ~。本当にいい政策を思いついてくれたよ。日本政府に感謝!」と永田町方面に頭を深々さげる吉田。

 

もしも今、吉田の家に世論調査の電話がかかってきて、「安倍内閣を支持しますか?」と訊かれたら、間違いなく、「はい! 支持します!」と、吉田は答えるだろう。ボタンを押すだけでいいのに、わざわざウキウキ声を発することであろう。

 

吉田の恋の行方はまた後日、書こうと思う。